難治性ニキビの治療~①保険診療編

今回は男性の難治性ニキビの治療例のご紹介です。

ニキビ治療に関しては、当院ではまずしっかりと保険診療を行ない、その上で治りにくい傷跡の赤みや、アクネスカー(へこみ)に対して、フォトフェイシャルやダーマペンといった美容治療をお勧めしています。

今回ご紹介する方は10代の若い男性です。他院皮膚科でエピデュオゲルと抗生物質内服薬を処方されており、治療しているにも関わらず、なかなか良くならないので、「これ以上の治療は難しい、美容治療も検討するように」とお勧めされ、当院を受診されました。

当院初診時


おでこ、口周りを中心に、お顔の広範囲に炎症のあるニキビ、膿疱が多数分布しています。

このように保険診療でニキビ治療薬が処方されているにも関わらず、あまり良くならない方は時々おられます。その場合は外用剤の塗る量、塗り方を見直してみると、改善が得られることがあります。

この患者さんは改善できる点が二つありました。まず1点目は前医からの指導で保湿剤を塗った上からエピデュオゲルを塗っておられたこと、そして2点目は薬剤の外用量が十分では無いことが判明したので、その2点を直すようにお伝えしました。

ベピオゲル、デュアック配合ゲル、エピデュオゲルの過酸化ベンゾイル製剤は、塗り始めの時期に赤み、乾燥、ヒリヒリ感などの刺激症状を感じやすく、つらくてすぐに止めてしまう方が多数おられます。

なので、病院によっては患者さんのドロップアウトを避けるために、全ての患者さんに事前に保湿剤を塗って、その上から薬を塗るように指導しているところもあるようです。 もちろん保湿剤の事前塗布は決して悪いことではなく、当院でも刺激症状がつらくて薬剤の継続が難しい方には、同様の指導をしています。しかし個人によって肌質は異なるため、やはり全ての患者さんに事前の保湿剤外用が必要なわけではありません。患者さんによっては、むしろ保湿過多で逆効果の場合があります。私見ではありますが、脂性肌の方や、薬を塗っても乾燥が辛くない、全然刺激を感じないという方に関しては、先に保湿剤を塗らず、洗顔後のそのままの状態で直接薬剤を肌に塗布する方が、薬剤の本来持つ効果が最大限に発揮できると考えています。

この患者さんは乾燥や刺激感はつらくないとのことでしたので、保湿剤の外用を中止していただきました。また1ヶ月で使用するべき外用剤の適正量を具体的にお伝えし、十分量を塗るように指導いたしました。また漢方薬も追加して、保険診療のみで以下の状態まで改善が得られました。

↓当院初診から約4か月後


この時点でもかなりの改善は得られています。赤みが減り、隆起していたニキビがかなり平坦化し、膿疱も減っているのが一目瞭然ですね。 炎症後紅斑(ニキビ跡の赤み)、炎症後色素沈着(赤みから茶色に変化している部分)、アクネスカー(へこんだ部分)は残っているものの、ここから先、気長にベピオゲル、エピデュオゲルなどの過酸化ベンゾイル製剤を塗っていくだけでも、数ヶ月~年単位ではありますが、赤みや色素沈着に関してはゆっくりと改善は得られると思います。(アクネスカーは保険診療のみでは改善が難しいことが多いです)

この患者さんは赤み、色素沈着、アクネスカーが気になり、早く良くしたい!との希望がありましたので、美容診療も受けて頂くこととなりました。

これ以降の治療は難治性ニキビの治療~②美容診療編に続きます。

 

あや皮フ科クリニック|京都市上京区 西陣|一般皮膚科 美容皮膚科

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