乾癬(かんせん)は感染しない病気です

今日10月29日は「世界乾癬デー」です。(実は恥ずかしながら私も最近知ったのですが・・・😅)

世界各地で乾癬患者さんが病気の認知を高め、意見を表明するためのイベントが行われているそうです。

世界乾癬デーにちなみ、私も一皮膚科医として微力ながら「乾癬は感染しない=うつらない」ということを広めるべく、ブログを書きたいと思います。

 

まず乾癬とは皮膚の病気の一種です。

原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的素因や免疫異常が原因で発症すると言われています。全身の皮膚(特に肘、膝、頭皮など外からの刺激を受けやすい部分)に盛り上がりのある紅斑が出現します。紅斑の上には鱗屑という銀白色のフケのようなものがあり、文字通り「鱗(うろこ)」のようにパラパラと剥がれ落ちます。

《参考サイト》

日本皮膚科学会HP→乾癬 Q1 - 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)

 

乾癬は「かんせん」という音の響きのせいで、「感染=うつる」と誤解されていることが多くあります。

実は医療従事者さえも正確に理解していないこともあり・・・💦

私も以前総合病院の皮膚科で勤務医をしていた頃、こんなエピソードがありました。

近隣の開業医の先生からのご紹介で、症状のかなり悪化された乾癬患者さんが受診されました。

診察すると全身に鱗屑がびっしりあり、紅斑も広がって乾癬性紅皮症という重篤な状態になっていました。

もちろんすぐに入院してもらうことになりました。

入院時の検査やら、手続きやらを済ませ、ようやく病棟に上がった・・・、というタイミングで、病棟の看護師長さんから血相変えた電話がかかってきました😨📞⚡

 

「先生! あの乾癬の患者さんは感染するんですか!? 

隔離の部屋の方が良いですか!? 

看護師の感染防御対策は手袋だけでいいんですか!? 

事前に何も聞いてないですけど!!!」

 

いやいやいや・・・。

 

「乾癬はうつる病気ではありません。

皮膚の赤い部分に素手で直接触れても、お風呂に入っても、絶対に大丈夫です。

ましてや隔離などは全く不要です。」

という事を看護師長さんに説明し、また電子カルテの『医師から看護師への伝達事項欄』の一番上にも「乾癬はうつらない病気です。通常の入院患者さんと同じ対応で大丈夫です」、と赤字で記入して、ようやく病棟看護師さん達にも安心していただきました。

乾癬の皮膚症状の見た目のインパクトが強いので、知識がないと不安になってしまうんですよね💧

現役バリバリの看護師でさえこのように焦ってしまうのですから、一般の人は推して知るべしですね・・・。

やはり誤解を解くには地道な周知活動が必須です。

今後も機会があれば時々ブログにしつこく「乾癬は感染しない、うつらない」と書いていきたいと思います。

 

あや皮フ科クリニックでも乾癬の患者さんが来院されており、症状に応じてステロイド外用剤、ステロイド/ビタミンD混合軟膏、アプレミラスト(オテズラ錠®)内服などの治療を行っています。

既存の乾癬患者さんはもちろん、もしかしたら乾癬かな・・・?と思われている患者さんがおられましたら、是非一度ご相談にお越し下さい。

 

 

世界乾癬デーにちなんで、漫画「はたらく細胞」の乾癬編が特別に無料公開されています😲 

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