シイタケ皮膚炎

今回は「しいたけ皮膚炎」という面白い名前の病気のご紹介です。

この病気は読んで字のごとし、キノコのシイタケを食べることによって発症する皮膚炎です🍄

まずは実際の症例を見て頂きましょう。

今回の患者さんは週末のお休みにバーベキューをして、3日後から体の痒み、赤みが出現したとのことで受診されました。バーベキューでは焼きシイタケを食べており、そう言えば生焼けだったかも・・・、とのことでした。

診察すると、背中やお腹などに広範囲にすじ状の赤みが沢山見られます。これがしいたけ皮膚炎の特徴で、生のシイタケや、十分に加熱されていないシイタケを食べてから、およそ2,3日後に、体幹を中心に強いかゆみが生じ、掻いた部分がムチで打たれたかのように線状に赤くなります。

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原因ははっきりと分かっていませんが、シイタケに含まれるレンチナンという物質が関わっていると言われています。

治療は掻いて赤くなった部分にはステロイドの塗り薬を塗り、痒みが強い場合は抗ヒスタミン薬を内服していただきます。非常に痒みが強いので、掻破することで皮膚炎をこじらせてしまう可能性があり、早めに治療することをお勧めいたします。

最近はコロナ禍で屋外のレジャーを楽しまれる方が増え、バーベキューなどをされる方も多いかと思います。 気候の良い秋の季節、シイタケにはしっかりと火を通してレジャーを楽しんで下さいね😉🍁

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体のホクロに炭酸ガスレーザー治療をお勧めしない理由

 


おかげさまで炭酸ガスレーザーでホクロを取りたいというお問い合わせを多数いただきます。

その中で「体のホクロを取りたい!」と希望される患者さんも時々来院されます。

が、顔や首以外の部位に関しては、基本的に炭酸ガスレーザーでのホクロ除去はお勧めしておりません。

と言うのも、首から下の部分は血液の流れが悪く、頭や首と比較すると圧倒的に綺麗に治らないからです。

今回ご紹介する患者さんは、背中にかなり大きく膨らんだ黒子があり、取りたいという希望で来院されました。

レーザー治療では綺麗に治らない旨しっかりご説明して、その上で御本人様が「ホクロが飛び出ているのが大変困る、子供に引きちぎられそうになる。どうしても取りたいけれど手術は避けたい。見た目は綺麗に治らなくて気にしないので、とにかくでっぱりが取れたら良い」と希望されたので、炭酸ガスレーザーで除去を行ないました。

傷跡の例をお見せしたいと思いますので、参考にしていただきたいと思います。

炭酸ガスレーザー照射前

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拡大写真(照射前)

サイズがおよそ10×8mm程度のかなり大きい黒子です。

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炭酸ガスレーザー照射後 2週間経過

新しい皮膚ができて、傷は治っています。割と根の深いほくろだったこともあり、はっきりとした瘢痕(はんこん=傷跡)になっています。

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・拡大写真(照射後)

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この方は最近施術した例なので、これ以降の長期経過の写真がありません。

そこで別の患者さんの8ヶ月経過例をご紹介したいと思います。この方も背中のホクロを取っています。

・施術前(画像が粗くてすみません)

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・施術後8ヶ月経過

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傷が残っているのが遠目にもわかると思います。やや膨らみのある状態です。

多少個人差はありますが、1例目の患者さんも時間が経過すると、同じような見た目になっていくと予想されます。

体のホクロを炭酸ガスレーザーで治療した場合、例えが悪くて申し訳ないですが、このように「根性焼き」の様な外観になってしまいます。なので美容目的で取る場合には、基本的にお勧めしないとご説明しております。

顔の大きなホクロを取った方の例と比べると、治りの美しさの違いは一目瞭然かと思います。(顔のホクロ除去後の例です)↓ ↓

鼻横の大きいホクロの治療・・・続き - あや皮フ科クリニックのblog

ちなみに炭酸ガスレーザー以外の治療法としては手術がありますが、手術も線状の傷は残ります。そして先述した「首から下の部分は血流が悪いので、顔や首と比較すると綺麗に治らない」という法則は、手術でできた傷にも当てはまります。

顔以外の部分のホクロを取りたい方は、レーザー、手術いずれの方法で除去するにせよ、傷跡のリスクを十分に理解し、メリットとデメリットを比較して、納得した上で施術を受けるようにお願いいたします。

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あや皮フ科はコロナワクチン接種は行なっておりません

あや皮フ科クリニックホームページのお知らせ欄にも載せておりますが、当院ではコロナワクチン接種は行なっておりません。

グーグルで「あや皮フ科クリニック」と検索すると、クチコミや営業時間などが記載される概要のページに『⚠COVID-19 ワクチン接種の提供あり』、『すべての患者に対応』と出てくるのですが、これは誤った情報です。 

 

↓ ↓ 検索結果でこのような概要ページが出てきます。↓ ↓

 

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当院が希望して掲載している情報では無く、グーグルが独自の判断で掲載しているようです。

2021年7月頃から何の前触れも無く出現したのですが、自分たちでは消去できず、グーグルに削除依頼する方法も無くて、大変困っています💧

毎日何人かの患者さんからワクチンについて電話でお問い合わせをいただくのですが、その度毎にお断りしなくてはならず、本当に申し訳ないです😖

ホームページ、ブログ、ツイッターなどで地味に発信するしか方法がないのですが、本当になんとかならないものか・・・。

 

このブログをご覧になっている方で、もし削除する方法をご存じの方がおられましたら是非教えて下さいますようお願い申し上げます😫🙏

 

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混雑回避の為のお願い……夏はとびひに注意⚡

気づけばもう7月ですね🍉

水虫、あせも、虫さされ...etcと、皮膚科は夏に悪化する疾患が多く、病院も混雑しやすいのですが、当院もやはり混雑してお待たせすることが多くなっています。

土曜日は特に混雑しやすいので、平日受診が可能な方はできるだけ平日にお越し下さい。

また土曜日も11時を過ぎて来院されると、大変混雑します。

つい先日の土曜日は10時頃はガラガラで、今日は夏にしては暇だな~と、のんびり構えていたのですが、11時20分頃から一気に急激に混み始め、多数の患者さんを大変長くお待たせすることになってしまいました。こちらとしても長時間お待たせするのは非常に心苦しく、また診察時間も短くなるとどうしても診療の質も落ちてしまいます😫

皆様、お仕事や学校でお疲れのこととは思いますが、なるべく早めの時間帯での来院をお願いいたしますm(_ _)m🙏

 

 前置きが長くなってしましましたが、今回はとびひのお話です。とびひも夏に多い皮膚の疾患で、黄色ブドウ球菌や溶連菌といった細菌が皮膚に感染することで起こります👿

当院でも6月中旬くらいからジワジワととびひの患者さんが増えてきた印象です。

とびひの語源は「飛び火」から来ているのですが、文字通り火事の火が燃え広がるかの如くあっという間に広がるリスクがあります。

虫さされや、あせもの部分を掻いてしまう事で細菌感染を起こして発症することが多く、大人の方でも元々アトピー性皮膚炎や、慢性的に湿疹があって肌にダメージがある方は感染のリスクが高くなります。

とびひには水ぶくれができる『水疱性膿痂疹』と、かさぶたが付着する「痂皮性膿痂疹」があり、前者は黄色ブドウ球菌が、後者は溶連菌が原因となります。

 

水疱性膿痂疹 

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(↑ 日本皮膚科学会のサイトからお借りしています)

 

痂皮性膿痂疹

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 (↑ 日本皮膚科学会のサイトからお借りしています)

とびひは軽症のうちは塗り薬だけでも治る場合もあるのですが、「飛び火」して広がってしまうと塗り薬のみでの治療は難しく、抗生物質の飲み薬が必要となります。

怪しい症状がある場合はなるべく早く受診するようにして下さいね。

またとびひにならないように、普段から適切なスキンケアも大切です。外遊びの際は虫除けを塗る、爪を短く切っておく、皮膚の乾燥やあせもがある場合は早めに治療しておくなどもとびひの予防になります。

より詳しい情報が日本皮膚科学会のホームページに掲載されていますので、そちらも参考にして下さいね。

とびひ - 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)

 

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日本皮膚科学会総会に参加しました

先週土曜日は終日休診して、日本皮膚科学会総会に参加しました。

休診日とご存じなく、わざわざ来院された患者さんもいたようでご迷惑をおかけいたしました🙇

日本皮膚科学会総会は昨年はコロナの影響でウェブ開催のみだったのですが、今年はハイブリッド開催となり、現地でも講演が行なわれました。

私はコロナワクチン2回とも済ませているので、現地に行くか迷ったのですが、今回もウェブ参加することにしました😃

 

↓ ↓ 診察室で一人きりで黙々と教育講演やスポンサーセミナーを視聴・・・。

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現地参加も企業展示があったり(日焼け止めやドクターズコスメのサンプルが貰えたりします😍)、普段は会えない遠方の先生達と交流できたり、お楽しみが色々とあるのですが、私のように体力が無さ過ぎる虚弱人間にはウェブ開催はとても快適なのです✨

現地の会場はスーツを着た方々向けに気温が調節されているのか、エアコン効きまくりで寒いんですよね😨 人気の講演はすぐに満席になってしまい、2時間立ち見なんてのもザラですし💦

そして会場は国際会議用の大箱なので、めちゃくちゃ広く、歩き回るだけでぐったり疲労困憊に・・・。正直毎回学会参加の二日目には体力が尽きて、教育講演の内容も頭に入ってこないほど疲れ切っていました。

でもウェブ開催ならそんなお悩みとすべて無縁なのです~😆 

更に嬉しい点は、教育講演の内容が後日ネットで配信していただけるのです♪

見たい講演が同じ時間にかぶっている場合は、今までは諦めるしかなかったのですが、これからはお家でゆっくり見られるなんて、めちゃくちゃ有り難いです✨✨

リアタイで聴いた講演も、うっかり一部聞き逃したり、よく理解できなかった内容もあるので、もう一度聴けるのは本当に感謝しかありません。

過疎地でなかなか学会に参加できない先生や、病気や子育てで現地参加できない先生とか、勉強できる機会を与えられて助かる先生は非常に多いと思うので、コロナ禍が終わっても未来永劫ウェブ開催は続けて欲しいと心から願っています🙏

色々と新しい知識を勉強して、日々の診療に活かせるように頑張ります🎶

 

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日光角化症の治療について

前回のお話の続きです。

日光角化症はどのように治療するか?

以前は手術で除去するか、液体窒素で凍結するくらいしか方法がありませんでした。

私が皮膚科に入局したばかりの十数年前、大学病院で研修中に鼻の頭に日光角化症ができた患者さんを担当したのですが、当時の治療は外科的切除プラス植皮術でした。 まず病変を切除して、その後大きく皮膚が無くなってしまうため、体の他の部分から皮膚を取って、欠損した部分に移植して覆う必要があるのです。つまり鼻から病変を取るのと、移植のための皮膚と2カ所を切らないといけないわけで、なかなか大がかりな処置が必要でした😣

現在は上記の治療に加えて、塗り薬があります。イミキモドといって、塗った部分の免疫を局所的に高めて治療するという、面白い薬です。 

 前回紹介した患者さんは二人ともイミキモドで良好な結果が得られたので、紹介したいと思います。ただイミキモドは副作用が強く出ることもあり、塗った部分がただれてしまう方もおられます⚡

 

治療前

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治療開始後 2週間経過

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結構ただれてきています。幸いこの方は痛みはありませんでした。

 

イミキモド外用終了から2ヶ月半経過

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きれいに治っています。病変も消退した上、ただれも傷跡を残すこと無く治癒しました。

 

もう一人の患者さんです。

治療前

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治療開始後 3週間経過

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この方はこめかみ側の病変が少し赤くなった程度で、ただれは出現しませんでした。

 

イミキモド外用終了から1か月経過

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おおむね治っています。特に目立った副作用は出現しませんでした。

 

長年農業に従事しておられた方など、数十年単位で毎日長時間日光を浴びていた方は、顔全体に日光角化症が数え切れないほど散在しているなんてこともよくあります。そんな方には全部の病変に手術をするなんて不可能です(全部を手術で取ってたら顔が無くなるので・・・😅) なので、そのような方に塗り薬がよい適応です。

もちろんかなり厚みのある病変や、再発性の病変など外科的治療の方が良い例も多くあります。その辺りは個々の例によって異なります。

 

顔に赤いガサガサや、薬を塗っても治らない湿疹のような病変がある方は一度ご相談下さい。(日光角化症の治療は保険診療です)

 

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日光角化症

すっかりブログからご無沙汰しておりました💦

なんと最後のブログを書いてから、3か月近くも経っています。

『1月行って、2月は逃げて、3月去って』、と言われますが、まさにその言葉通りあっという間に月日が過ぎ去ってしまった感じです😫

 

さて、今回は日光角化症という皮膚の病気のお話です。(光線角化症、老人性角化症と呼ばれることもあります。)

日光角化症は顔や手の甲など、日光がよく当たる部分に発症することが多く、特に60歳以上の高齢者の顔によく見られます。1カ所だけでなく、複数カ所に多発することも多くあります。

日光角化症」という名前の通り、発症には日光、すなわち紫外線が関連しており、非常に長い期間、慢性的に繰り返し紫外線の刺激を受けることにより、皮膚の表皮細胞が悪い細胞へと変化して発症します。

見た目は直径1~2㎝程度の赤みのある病変で、表面がカサカサとしていたり、更に進展すると厚いかさぶたが付いた状態になることもあります。

実際の例です。

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70代の患者さんで、左の眉毛の端に赤く、表面がカサカサした病変があります。

当院を受診される2年前から症状があり、他の医院で湿疹の塗り薬を処方されて、ずっと塗っていたけど治らない・・・、ということで受診されました。

実はこのように日光角化症が湿疹と間違われている例は結構あります。

この方は皮膚生検(局所麻酔をして、皮膚を一部切り取って調べる検査)を行い、日光角化症と診断を確定しました。

 

更にもう1例紹介を。

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こちらの患者さんは矢印2カ所に日光角化症が見られます。

先ほどの例よりガサガサ感が強く、かさぶたがより厚く付着しています。発症して、更に長い時間が経過しているものと思われます。


日光角化症は前癌病変と言って、皮膚癌の一種である有棘細胞癌の一歩手前の状態です。 悪い細胞が表皮の中におさまっている状態で、表皮には血管がないため、癌細胞が血流に乗って移動することはないので、この段階では転移などを心配する必要はありません。似たような症状がある方は一度皮膚科を受診することをお勧めします。

日光角化症の多くは癌に進展することはありませんが、表面がただれていたり、病変全体が盛り上がったような状態になっている場合は、癌に進展している可能性もありますので、早めに皮膚科専門医を受診しましょう。

 

次回のブログでは日光角化症の治療について書きたいと思います。

 

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